守谷市の水道水PFOSについて

守谷市水道水のPFOS測定データ

守谷市の上水道は現在100%を茨城県企業局利根川浄水場から受水しています (守谷市水道ビジョン)。このため、市の水道水に含まれるPFOS・PFOA濃度は利根川浄水場での測定結果と同じです。最新の測定では、PFOSとPFOAの合計濃度は年内の各月で概ね3~10 ng/L程度であり、国が定めた暫定目標値50 ng/Lを大きく下回っています(茨城県企業局 PFAS(有機フッ素化合物の総称)(PFOS・PFOA)検査結果)(水質検査結果|守谷市公式サイト|Moriya City)

岡山県吉備中央町におけるPFOS汚染事例

岡山県吉備中央町・円城浄水場の事例は、近年明らかになった国内のPFOS/PFOA汚染事件として注目されています。吉備中央町は工業が少ない中山間地域ですが、2020年頃から同町の円城浄水場で供給される水から国暫定目標値の16~28倍(約800~1,400 ng/L)ものPFASが検出されていました (〖解説〗吉備中央町のPFAS問題 住民の不安と今後の対応は 岡山 | KSBニュース | KSB瀬戸内海放送)。2023年10月、岡山県の調査で浄水場の取水元である河平(かわひら)ダム取水口の水から1,200 ng/Lという高濃度のPFOS/PFOAが検出され、本格的な原因究明が始まりました。

調査の結果、汚染源は浄水場上流の資材置き場に大量に野積みされていた「使用済み活性炭」であることが判明しました。吉備中央町にはPFOS/PFOAを製造する工場は存在せず、町内の企業が町外から持ち込んだPFOA含有廃棄物(使用済み活性炭)が原因だったのです (PFAS汚染――「今日から水道水を飲まないでください」と言われたら | 先見創意の会)。実際、河平ダム上流の該当箇所で採取された水からは最大62,000 ng/Lという極めて高濃度のPFOS/PFOAが検出され、この廃棄物から雨水等で有機フッ素化合物が浸出しダム水系を汚染していたことが明らかになりました。使用済み活性炭そのものを分析したところ、溶出試験で最大4,500,000 ng/LものPFOS/PFOAが検出されており、汚染源として符合しました。

汚染への処置として、まず吉備中央町は2023年10月16日に町内放送で「今日から水道水を飲まないでください」と住民に呼びかけ、ただちに飲用を制限しました。併せて浄水場区域の住民向けに給水タンク車や給水所を設置して代替水の供給を開始し、日常生活への影響を最小限に抑える措置をとりました。岡山県および町は原因物質の特定を急ぎ、上流の不審な資材置場を調査した結果前述の使用済み活性炭に行き着きます。2023年11月中旬までに問題の活性炭約580袋を全て撤去し、汚染源を除去しました。活性炭撤去後、ダム水系のPFOS/PFOA濃度は低減し、11月22日には浄水区域の飲用制限を解除して通常利用を再開しています (〖円城浄水場有機フッ素化合物等の検出について〗 – 吉備中央町ホームページ)。また、町は全国で初めて住民の血中PFAS濃度検査を公費で実施し、住民の健康リスク把握に努めました。その結果、多くの住民で米国の指針値を上回る血中PFAS濃度が確認され、不安の声が上がっています。町では専門家を交えた原因究明委員会を設置し、周辺土壌や地下水の継続監視、汚染された土の除去・浄化策など長期的な対策を検討しています。現在、吉備中央町は岡山県や国と連携し、浄水への高度浄化設備導入や安全な水源への切替も含めた再発防止策に取り組んでいます。今回の事例は、「想定外」の場所で発生したPFOS/PFOA汚染として注目されており、廃棄物管理の重要性と水源リスク評価の課題を浮き彫りにしました。

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