要約
守谷中央図書館の大規模改修にあたり、新設される「ラーニング・コモンズ」を社会人と学生が交流する主体的な学びの場として活用するよう提言。市長は、図書館を「知のインフラ」と位置づけ、市民の意見を反映した改修への想いを語った。郷土史保存と市民協働の拠点としての図書館の未来に期待が示された。
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実好
今回で2回目の一般質問となりました。令和6年12月議会から守谷市議会議員としてスタートしてはや3ヶ月が経ちました。あのときに議場で誓った、「守谷市民全体の奉仕者として尽力してまいります」という言葉を胸に、これからも邁進したいと存じます。今回の一般質問は2項目になります。では早速、1項目に入らせて頂きます。ご承知のとおり、守谷中央図書館は建設からおよそ30年が経過しました。そしていよいよ令和7年より大規模改修工事が始まります。現在はまさに、これまでの30年とこれからの30年に向けた節目のときです。そこで1つ目の質問は、これからの30年に向けた守谷中央図書館の運営方針についてお聞かせください。
執行部
現在、守谷中央図書館運営基本方針は3つの柱を掲げておりますが、今後もこの方針を継承し、時代に即した対応を付加しながら運営して参ります。 1つめの方針は「市民の求める図書や情報の収集、提供、保存」となりますが、これは図書館にとって最も重要な使命であることは言うまでもありません。 地域や行政資料の収集・保存にも努め、守谷の歴史を、資料を介して未来へつなげていくことに努めてまいります。 次に2つめの方針である「未来を担う子どもたちの読書活動の推進と、学習活動の支援」については、子育て王国もりやの図書館としてこれからも注力してまいります。読書活動は、子どもたちが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高めるなど、人生をより豊かに生きるための力を身に付ける上で、欠くことのできないものです。そのため、図書館では子どもの成長段階に応じた資料を収集し、子どもたちに届け、読書の楽しさを伝えるとともに、未来の図書館サポーターである子どもたちの主体的な図書館利用を支援してまいります。 最後に、3つめの方針である「市民との協働により、市民が集い、学び、活躍できる場の整備」については、生涯学習の拠点として、市民の生涯にわたる学びを支えるため、これまで以上に図書館ボランティアを始めとした市民との連携を深め、学びや活動の場の整備に努めてまいります。
実好
今回の大規模改修工事の基本設計概要(案)を拝見しました。私が特に注目したのはラーニング・コモンズの新設」という部分です。ラーニング・コモンズとはこのように書かれていました。「グループ学習やワークショップ等における主体的な学びのスペース」。これは、先ほど挙げていただいた運営方針の3番目である「市民が集い、学び、活躍できる場の整備」と合致するものと考えています。ここで2つ目の質問になります。この「ラーニング・コモンズ」を新設する意図、また近隣の自治体で同様の試みがあるのか、そして、現段階でのラーニング・コモンズを活用した運用計画をお聞かせください。
執行部
ラーニング・コモンズとは3階に新設する「自習やグループ学習に使用でき、開かれた講座やワークショップなども開催できるようにホワイトボードやプロジェクターを設置する1つの空間です。声を出してのグループ学習やワークショップなどにより学びを深める空間としてご利用いただくために、情報環境(インターネット環境)を提供するほか、目的に応じて自由にテーブルや椅子を組み合わせて利用ができる設えとしております。昨今、大学図書館においては、ラーニング・コモンズの設置は一般的になりつつあり、新しい公共図書館においては、グループ学習や会話ができる学習スペース等を併設したり、生涯学習の場を提供したりする施設が見受けられるようになっております。県内においては、土浦市立図書館が、ロフトと称したコミュニティスペースの設置や、生涯学習振興の活動に利用できる研修室を、有料で貸出するなどしております。これまでの公共図書館は、講座や講演会の開催という形で、市民の学びに寄与することが一般的であり、市民等の主体的な学びの場を提供していくことは比較的新しい試みであります。リニューアル後に新設するラーニング・コモンズは、学生の主体的な学びの場として、また、ボランティアや市民団体の活動発表等を行う場としてなど、幅広い年齢層の方々に活用していただきたいと思っております。今後、市民の皆様のご意見等もお聴きしながら、より良い運用について検討して参ります。
実好
私はこの『ラーニング・コモンズ』に大きな可能性を感じています。大きく言えば、この『ラーニング・コモンズ』が守谷のまちづくりをさらに推進する原動力になると考えています。この『ラーニング・コモンズ』を活用して、市民同士がつながる企画案を考案しましたので、提言させていただきます。守谷市には、いわゆる守谷都民と呼ばれる方々が多くいらっしゃいます。私は長年ボランティアをしている関係で、そのような方たちと接する機会が多くありますが、その中でよく感じることがあります。それは、誰もが地域に貢献したいという気持ちを持っているという事実です。もちろん、その想いには個人差がありますし、仕事などで忙しく、なかなかその想いを発揮できる場がないのが現状だと捉えています。そのような方たちは、仕事を通じて得た経験や知見を豊富に持っています。このような市民の方たちが、就職活動を控えた学生に、面接や就職に関するアドバイスをする講座ができれば面白いのではないでしょうか。同じ守谷市民でありながら、立場が異なる学生と大人が「ラーニング・コモンズ」を通じてつながることができれば、双方にとって素晴らしい思い出や経験になると思います。そしてなにより、きっと、もっと守谷が好きになるはずです。以上になりますが、「守谷に貢献したいという想い」を持つ市民の背中をそっと押してあげられるような地域参加できる仕組みをラーニング・コモンズにいずれ作っていただければ幸いです。守谷中央図書館について、もう一つだけ述べ、最後に市長にお尋ねしたいと存じます。
私は「守谷の交通の歴史」を調べていた時期がありました。関東鉄道常総線ができる前の、蒸気船の時代です。時代は明治、大正時代で、今では考えられないですが、野木崎地区が守谷で最も栄えていた頃の時代です。私は守谷中央図書館の3階にある郷土の資料コーナに大変お世話になりました。ご承知の通り、昨今、図書館に求められるニーズは多種多様に広がっています。しかしどんなに時代が変わろうとも、1つめの方針でもあった、「本の収集、提供、保存。とりわけ、郷土の歴史資料の収集・保存」は市立の図書館の根幹であると考えています。私は守谷の歴史を知るにつれて、先人たちの判断の積み重ねを知り、それらがいまの守谷に密接につながっていることに気づきました。「歴史を知ることは、自分を知ること」です。守谷の歴史に触れた子どもたちが、守谷の未来を作っていくと信じています。 松丸市長には、財源が限られる中でも、守谷中央図書館の大規模改修工事に大きな予算をお付けになりましたが、これからの守谷中央図書館に対しての期待や想いなどがありましたら、ぜひお聞かせいただければ幸いです。
松丸市長
ありがとうございます。実好議員には、本当によく勉強をされて、非常にありがたい提言をいただいたことに、まずは感謝を申し上げたいというふうに思いますけれども、私は、図書館というのは、ある意味で、我々人類の、逆に人類しか持てない知の継承の地点であったり、コミュニケーションを取るための一つの場であったりというふうに思っておりますし、もちろん、いろいろな動物も何らかの形でコミュニケーションを取ってはいるというふうに思いますけれども、我々人類ほど、きめ細かに自分たちのしたことを文字であったり言葉であったりして、自分たちの子孫に残していくというようなことは、ほとんどの生命体の中でないのだろうというふうに思っておりますし、そういう意味では、図書館というのは、非常に我々人類にとって、知の集約の場であったり、また、当然それを継承していくための場であったりというような重要な役割を担っているのだろうというふうに思っています。 十数年前に、図書館の指定管理者の問題というのがございました。そのとき私はまだ当時議員であったわけですけれども、当時の指定管理者の事業者を、特別委員会だったか委員会だったか忘れましたけれども、オーナーに来ていただいて、これからの図書館の在り方という部分も聞きましたし、そういう中で、私が市長になってから、指定管理者を取りやめさせていただきました。なぜかというと、やはりこれは、ほかの例えば我々のインフラを支える水であったり下水道であったりというものと同じように、我々の知のインフラを支えているのが図書館であるというふうに認識もしておりますし、そういう意味では、これを民間事業者、特に、どうしても民間事業者というのは、利益の追求型になりますので、渡していいものといけないものというのはあるのだろうというふうに私は思っておりましたので、指定管理者の制度をやめさせていただきました。 特に守谷の図書館というのは、30年前に造る前から、多くの市民の皆さんの意見を聴取し、また、この図書館の運営そのものも、市民の皆様の大きな力によって、よりよい図書館ができているというふうに思いますし、ボランティアの皆さんの支えによって、今の図書館があり、貸出し数であったり、1番になったりということも度々あったわけでございますし、まさしく行政と市民との協働事業の一番大きな実績ではないかなというふうに思っています。 また、今回の改修に当たっても、私は、担当者にも、いろいろなところの大規模改修する際には申し上げているのですけれども、まずは利用者、そして、そのほかの多くの市民の皆様の理想形を聞きなさいと。どういうことができて、どういうことをやるべきなのかということを含めて、まずは聞いて、その上で設計業務であったりということに入ってもらい、また、設計をする段階でも、何度となく利用者、それから市民の皆さんの御意見を聞いた中で、まずは理想形をつくってくださいということを申し上げております。 ただ、予算には限りがありますから、その中で、やはり優先順位をつけて、予算の中に絞り込む行為はしていかなければいけないわけですけれども、私は、建物の改修やなんかで一番嫌なのは、後から、あのときやっておけばよかったという声を聞くことが一番情けないというか、つまらない話でありますので、そういう意味では、やはり理想形に向けてどこまでできるか、そういうことも含めて、今回の図書館の改修をさせていただいたわけでございます。 当初は、敷地が限られているので、もっともっと改修する部分が非常に少なかった。まさしく今おっしゃっているように、市民と対話するスペースというのも、なかなか取れないというような状況でございましたけれども、理想的にはどうなのだというお話をすれば、ここまで広げれば、そういうスペースもできますよということ、それだったら、地権者に同意を得て、土地を譲っていただいて、そこで理想的な図書館を造ったらどうだというようなことで、職員が、一生懸命、その辺も調整をして、今回の図書館の改修に至ったという経緯がございます。 また、実好議員おっしゃるように、やはり歴史という部分というのは、当然、今、我々があるのは、過去の歴史があってからだというようなことで、それを忘れて未来づくりをしていこうとすると、とんでもないことになってしまうというのも思いますし、そういう意味での、図書館で歴史を知り、そして、守谷の未来を考えていくということは、大切なことなのだろうというふうに思っておりますので、今後とも、そういう点も含めて、実好議員の活躍に期待をしたいなというふうに思います。
実好
ありがとうございました。先日の令和7年2月5日に開催された第4回守谷市図書館協議会を傍聴しました。第4回ということで本年度最後の協議会となり、終了時には、委員一人ひとりから簡単な挨拶がありました。私はその中で強く印象に残ったことがあります。それは、ある委員が「私は他の自治体の図書館の審議会にも出ていますが、守谷は意見が活発に出る」とおっしゃっていたことです。これは、委員長をはじめ各委員の尽力によるものだと思いますが、それだけではなく、その場にいた館長や副館長の図書館への想いが大きく影響しているのではないかと、私はそのときに感じました。
正しい想いを持ったリーダーがいて、その想いをチームスタッフ全員が共有し、一丸となって目標に取り組む。そういった組織が守谷の図書館の未来を切り開いていく、そう信じています。